2018年にお声掛けをいただいてた長野の古民家再生プロジェクトが昨年末ようやく仮竣工となりました。
お問い合わせ頂いてから、なんと足掛け7年。長い道のりでした。
仮竣工ですのでまだ完全には工事は終わってませんが、
竣工写真っぽく撮れたところだけ before→after としてUPします。
細かいところを拡大しますとアレ?ってなる部分があると思いますが、そこは未完成部分としてどうぞ見逃してくださいませ。
After
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Before(外観ファサード)
= 解説 =
・玄関は厩だったところへ計画
・玄関戸は既存戸を補修して再利用(建具巾・高さを柱間や内法に合わせて材を足し、錠前2箇所新設)
・腰板は張替
・土壁は下地補修して中塗り仕舞い(中塗り土は地産)
・既存の玉石基礎は全周補強
・耐震改修(制振金物設置)
*ポーチ仕上げ、濡縁は次期工事
After
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Before(オエ)
工事中(基礎・部分揚前)
= 解説 =
・旧オエ部分は居間と台所などの水回りに計画
・床と天井にはセルロースファイバー断熱材
天井の平均熱貫流率U値は0.22(W/m2K)
床の平均熱貫流率U値は0.16(W/m2K)
・開口部には写真では分かりませんがサッシを新設しました。
既設の障子戸はお施主さんに清掃、塗装、障子貼りをしていただき、建具屋さんに建てつけ調整をしてもらった上で再利用しています。
開口部の障子付き熱貫流率U値は2.07(W/m2K)
・壁は土壁を補修して漆喰塗り仕上げ
外壁(土壁真壁)の熱貫流率U値は2.7(W/m2K)
・基礎は全面補強
・耐震については限界耐力計算により制振金物設置しています。
*襖戸の張替は改めてお施主さんの方でやる予定です
*参考までに当建物の仕様による各部分の熱貫流率を記しておきました
After
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工事中
= 解説 =
正面に見える差鴨居は構造上、撤去できないもので、プランニングする上では微妙な位置に掛っておりました。
この差鴨居でリビング側とキッチン側を間仕切ってしまうと、キッチン側が必要以上に広くなり、リビング側は狭くなってしまう。そこで差鴨居より1.5尺北側へずれたところにキッチンを作り、差鴨居から1.5尺の間にカウンターを設けました。
After
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before(オエ)
After
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before(オエ)
After
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Before(オエ)
工事中
After
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before
After
*この時、まだシステムキッチンの蛇口は未設置でした
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工事中(基礎)
*キッチンの水栓が設置された時の様子はインスタへ↓
インスタ
After
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工事中(座敷)
After
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before
= 解説 =
旧座敷には濡縁がありましたが撤去し、新たに縁側としました。
既存の欄間窓は縁側の天井高さの関係で塞ぎました。
座敷の天井は、竿縁だけを残し天井板を交換し、天井裏にはセルローズファイバー断熱材160㎜吹き込んであります。
古壁は恐らく創建当時のままと思われるのですが、土壁の傷みの酷いところは小舞下地からやり直し、
それ以外の壁は、下地調整をしてジュラク仕上げにしています。
床は床下からやり直し、セルローズファイバー断熱材を135㎜入れ、温水床暖房も入っています。
(畳は床暖房用の薄畳)
建具は既存建具。襖はいずれお施主さんの方で張り替える予定です。
After
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before
After
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before
= 解説 =
before画像中の物入左柱が、after画像中の古柱です。
before画像中の物入の上部小壁を撤去して(構造計算した上で撤去を判断)
物入れだった部分も含めて洗面脱衣室に計画しました。
after画像には、まだ設置されるべきものが幾つか未設置ですが、概ねこのような仕上がりとなりました。
(棚類、流し、洗濯乾燥機が未設置)
壁は施主施工(ドイツ漆喰のローラー塗り)
After
After
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before
= 解説 =
トイレのカウンターは無垢板1枚もので、実は裁板。
私の知人からどこかに使ってほしいと頂いたものです。
上等なもので当時は十数万したとか。
材は恐らく桂ではないかとのこと。
私のところには何故か捨てるには勿体ない物達がいろんな方から寄せられますので
建築に活かせるものは極力活かすようにしています。
トイレの壁も施主施工。(ドイツ漆喰のローラー塗り)
さて、一応、仮竣工を迎えた長野の古民家再生現場ですが、
仮竣工って何?と思われる方もいらっしゃると思います。
工事続行中であるのにも関わらず、お引き渡しをしたということで
“仮”という用語をつけました。
改めて、長い道のりだった長野の古民家再生の経緯を時系列にしますと↓
☑ 2018年 お問い合わせ
☑ 2019年 事前調査
☑ 2020年 計画&調査業務開始(地盤調査・古民家調査・耐震関係調査)
☑ 2021年 基本設計・実施設計
☑ 2022年春 本格的に工事着手
☑ 2024年末 仮竣工
一番最初にプランをご提案したのが2020年。
この時点でコロナ禍が始まっておりました。。。
そこから設計期間が凡そ1年程かかりまして
工事契約が2021年の秋。
解体関係をお施主さん達にやってもらって本格的に工事に着手したのが2022年春。
工事期間を1年半程をみて、2023年春頃、遅くも2023年中には完成予定だったのですが
丸1年工期が延び、
2024年の年末に仮竣工となった次第です。。。
これだけ長い工期になってしまった理由はいくつかあるのですが
予算調整上、施主施工を相当量お願いしたことがこれだけの期間を要してしまった一因ではありました。
設計に着手した頃はコロナ禍がはじまり、更に世界情勢が悪化したことでウッドショックや建築資材費の高騰等で工事見積もりがかなりの予算オーバーとなってしまい、予算調整に苦しみました。
しかし幸いにも、お施主さんのお父様が大工さんであったこともありましたので
お施主さん並びにお父様に多大なるご協力(施主施工)を前提としたプロジェクトにしたのですが、
その 施主施工という半ば強引な予算調整 が結果的には工事の長期化につながり
お施主さんにとっても想像以上に大変だったかと思います。
施主施工のリスクをもっと説明するべきだったと反省するところでした。
昨年12月、大工工事が終わらないところで、
各仕上げ職人さん方々の段取りをやりくりをして
何とか形になったのが昨年12月19日。。。
まだ水回りの使えない未完成の状態ではあったのですが
お施主さんご家族は年末時分に引っ越しをされました。
実は、仮設電気で床暖房を稼働しながら仕上げ工事をしておりましたので
水回りが使えない状態ではありましたけど床暖房は使えてる状況。
前向きに考えれば、床暖房付きキャンプ生活・・・
寒く無いだけでも救いといえるでしょうか。。。
トイレも外には仮設トイレはある。。。
水道も外に仮設水道はある。。。
電気も仮設電気は使える。。
お風呂は、、、近くに温泉があるので子供達は喜んでいたそうですが、、、
そうは言っても、、、寝泊まりするのに外の仮設トイレではちょっと厳しい。
そのような訳で、年始早々、設備、電気関係の職人さん達にご無理をお願いして、
なんとか1月の第二週には水回りが使えるようになりました!
ただまだお施主さんのお父様による大工工事が残っておりますので、、、
現場は続きます。
古民家再生、本当に手間が掛ります。。。
手間が掛って新築のように事が進みにくい古民家再生ですが、
そこへ追い打ちをかけるかのような2025年4月からの建築基準法改正。
既存不適格建築物な古民家を大規模リフォーム・古民家再生する場合、
今後、法適合審査(建築確認申請)を受けなければならないものも出てきます。
私共では確認申請を通した古民家再生実績もありますけど、
ただでさえ、面倒な古民家再生なのに、更にくそ面倒になるなぁ(言葉が汚くなってすみません!)
というのが本音です。
でもめげずに立ち向かって参りたいと思っています!