長野市で古民家再生 工事中~基礎工事~

長野市 古民家再生 基礎工事 工事中 Blog

昨年から始まっておりました長野市での古民家再生現場
久しく更新しておりませんでしたが、本格的に工事が始まっております。

4月には基礎工事が始まり、古民家再生工事あるある

「ここどーする!」

なコトが続いております^^;

そんな訳で、ブログの更新もままならず
インスタ等のSNSではその時々で投稿しておりましたが)
気が付けばこの通り、既に7月にもなっておりましたね・・・

そして今日は七夕!

さて、現場はといいますと、
現在、基礎工事は概ね終わって、只今大工工事に入っておりますが、
まずは基礎工事の様子からいきましょう!

今回の古民家再生の基礎工事の考えは、創建当初の礎石(玉石基礎)は残すという方針です。

実施設計では当初、基礎を全面コンクリートでやり直す、という案で計画していたのですが、
ご予算が、というよりも、コロナ等の世界情勢の影響が少なからず建設費に影響を与えており、、、
工事金額を積算してみると、かなり予算をオーバーしてしまいまして、、、
予算調整時に実施設計変更して礎石を残す方針に変えました。

ただ、一般的にいうと、
設計の方針としてコンクリート基礎を盛り込んでいながら、予算調整で変更中止にしてしまうことは、
耐震改修(筋交などで耐力壁を作る等)をやる場合においてはコンクリート基礎は必須になるため、
耐震改修方法も変更もしくは中止にしなければならない、という事態になります。

が、幸いにも今回は、耐震改修限界耐力計算法を用いて設計をやっていたため、コンクリート基礎を中止にしても問題がありませんでした!
(詳しい説明はここでは省略します)

 

1900年に建てられた茅葺古民家
これまで大きな改修はされておらず、比較的創建当初の状態のまま?と言ってもおかしくないくらいです。

それまで外壁を覆っていた波トタンをはがし、
基礎工事のために礎石周りを整理した状態がこちら↓

長野市 古民家再生 基礎工事 工事中

土壁の感じといい、玉石基礎の感じといい、
往年の姿を彷彿とさせますね。

しかし、誰もが、この玉石残して、基礎どうするの?!
と思われるかと思います。

基礎どうするかの話をする前に、古民家で起こっている問題点は何か、をまず考えてみましょう。

一般的には

・雨漏
(屋根材が何らかの損傷を受けて生じる)

・腐朽
(雨漏、湿気、結露などが原因で、特に地面に近い土台や柱の根元、床などに起きやすい)

・傾き
(木部の腐朽、雨水処理の不具合、地盤の不同沈下などによって生じる)

・隙間
(材の劣化、建物の傾きなどによって生じる)

・材の風化や劣化
(経年劣化)

・白アリなどの虫害

といったところでしょうか。

これらを全てひっくるめて老朽化と称されます。

このまずは老朽化の原因を出来るだけ排除してあげることが、私達の古民家再生におけるミッションです!

このポイントを押えていない改造、リフォーム、リノベーション、DIYはいくらやっても、一時は表面的に綺麗になり快適になりはするものの、隠れた問題を放置しているので、またいずれ問題が起こり、何度も直さないといけないことになります。
そしてそのような事が続けば、最終的には古民家を手放す、売却や解体、、、となるわけです。

裏を返せば、そういう問題がある古民家だから手放されている、とも言えるのですが。。。

古民家は安く、ちょっと頑張ってリノベすれば古民家カフェみたいに素敵になりそうだし、何とかいけるんじゃない?という割と安易な動機や、
不動産屋さんに数百万円で水回りを直せば古民家暮らしできますよ、等、営業トークに乗せられて古民家購入しても、話題としては面白いでしょうが、長続きはしないと思った方がよいです。

ですので、老朽化の原因となるところを、全体的様々な視点で見ることで、改修方針を考えます。
ここが重要で、それが設計屋である私の役割でもあります!

老朽化の気になる部分として誰もが心配するのがまず基礎だと思います。

この基礎工事やるやらない
全面的な古民家再生 vs 表面的・部分的なリフォーム
の分かれ目とも言えます。

 

長野市の古民家再生現場の基礎についてですが、
もちろん、古民家再生工事ですから、全面的に工事をします!

まず、設計の段階で事前に地盤調査はしておりまして、地盤は概ね良好でした。
(松代大本営近くですので地盤は良いのでしょう。ただ、石がとにかく多くてびっくりでした)

現状の土台(栗)の状況ですが、見た目は老朽化してそうにみえますけども、風化はあるものの目立つ腐朽は幸いにもなく、(ただ一部、昭和時代に施工されたコンクリート絡んだ土台だけ傷んでおりましたが)叩けば芯は残ってましたので、そのまま活かすことにしました。

礎石(玉石基礎)については残すにしても、
ここは寒冷地ですので、冬場の凍上による不同沈下が懸念されます。
不同沈下が起こると建物は変形をきたすことになりますので、不同沈下が起こりにくいような基礎工事をやります。

それって、どんな基礎かと申しますと
名付けて かんじき工法 です ← 私が勝手につけた名称ですが^^;

要するに、新旧土台の周る部分の基礎を、フーチングで一体化させる、というものです。

ただ、今回は建物を揚げずに基礎工事をしましたので、障害物が多い中での基礎工事はなかなか大変な様子でした。

まずは外周のフーチングから施工。

玉石が据わった状態のまま、地を緩めない程度に掘削、そして配筋をして型枠設置。

そしてコンクリート打ち。

基礎屋さんの他に、
うちの旦那やスタッフも手伝ってます^^;;

後日、型枠外すと外周部分のフーチングはこんな感じ↓
古民家再生 基礎工事 礎石

次に、内部土台周りのフーチングを施工。
*外周部と内部のフーチング同士は差し筋で繋いでいます。

 

さて、ここで俄かに問題が。
礎石と礎石の間↓をどーするのか、です。

コンクリートは打てませんし、どうするか。
此処の地はとにかく石だらけで、その石の処分の問題もありましたので
ならば、その石を活用するべし。

ということで
礎石と礎石の間に石を並べる事にしました。
しかも、お施主さんにやって頂こう作戦↓

今回の工事、予算調整上、お施主さんファミリーにもがっつり働いて頂くことにしております^^;;
その様子をいずれ「お施主さん作業特集」として纏めたいと思ってます☆

この時はゴールデンウィーク中(5/3)だったのですけども、ご家族総出でたった一日で外周全ての石並べを終えられたとのこと!
すごいです。

私が翌日(5/4)、石並べのお手伝いをしながら現場監理しようと現場に行った時には、だ~れも居りませんでした(笑)
役立たずのワタクシです^^;;

石並べ、終えた状況↓
礎石間に石を並べるには、石を探し集めるところから始まり、更にその中から、具合の良さそうな石を入れたり外したりしながらの作業となるので大変だろうと思っていたのですが、この通り、何とか納めて下さいました!
見た目はコンクリート基礎や布石のような綺麗さはありませんけども、景色として悪くない!

ただこのままだと、石が動いてしまうのでモルタルで固定。
モルタル作業もお施主さんにやって頂きました!

ただ、それでもなお隙間がありますので、それをどうするか、です。
(一応、目地詰めと防虫網を予定しています。)

基礎工事としては、
今回は束レス工法のため、一部、新たな布基礎も作りました。
*注:根太レス工法のことではありません。

束レス工法を採った理由ですがこれも不同沈下、不陸防止のためです。
今回、床下は土のままです。
(後日、砂利を入れる予定ですが)
べた基礎のような土間コンクリートはありません。

もし一般的な束立をする場合、束石を一つ一つ据えなければなりませんが、
その束石を其々据えてしまうと独立してしまい、地面が凍上をした場合、外周部分の基礎と束石が別の動きをしてしまうので、不陸やひび割れ等の原因になります。
なので、私としては 束石も基礎全体として一体化させたい のです。

外周部分の基礎と束石を一体化するためには、フーチングを3尺間隔で作って繋げないといけませんので大変。
(べた基礎ならいいんですが)
ならば、束レスでいこう、となりました。

寒冷地では凍上という地面が上がったり下がったりする現象(土壌の隆起)があります。
新築では凍結震度よりも深いところまで基礎を到達させることで、凍上に建物が追従しないようにしますが、
今回のように既存の礎石を残す古民家再生の場合、それは出来ません。

軟弱地盤等でべた基礎が不同沈下を起こそうとする地盤に対して海上の筏船のようだとすると、
フーチング同士を一体化させたものは、雪上など不安定な地面を歩くための民具 かんじき のようだと思えましたので、私は勝手にこの手法を かんじき工法 と呼び
凍上による不同沈下を防ぐためにやっています。

 

あと部分的ではありますが、土間コンクリートも作ります。
玄関やユニットバスを据えるところ等にです。

 

ここで余談にはなりますが、
コンクリートを使った基礎改修で絶対やってはいけないこと があります。

それは、
柱や土台をコンクリートで埋めたり接触させたりすることです!(絶対NG!)
間違いなく、コンクリートで覆われた材は、いずれ腐朽します!
よくDIY系のブログやSNSで、このやってはいけない行為を見かけますので、本当に止めて下さいね。

私の現場では、
コンクリートの高さ設定でどうしても木部に当たりそうなところは
接触しないように逃げてもらってます。ここ重要ポイントです。

 

さて、あとは防蟻です。
基本的には、白蟻の好む環境を作らない 白蟻が建物に侵入しやすい環境を作らない、が重要です!

白蟻の好む環境を作らない事には配慮していますが、そうは言いましても、相手は自然。
人間様の思うようにはならないので、
一応念のため、床下の土壌に防蟻剤を散布することになりました。

私共で仕入れることのできる業務用の防蟻剤がありますので、材料費だけお施主さんにご負担いただき、
施工は、道具を貸すので、現場監督がレクチャーしてお施主さんにやっていただきました↓

本当にお施主さんファミリー皆さんはよく動いて下さいます!
毎週土曜日、ほぼほぼ現場に来て作業を手伝っています。
タフです。
本当に。

さて久々のブログ、
長くなりましたので、今回はここまでにしたいと思います。

次回は、部分揚前について書く予定です!
お楽しみに!(?)

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